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【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」12 ~道央経済入門・空知編~

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」12 ~道央経済入門・空知編~

えぞ財団 2022年6月30日

北海道経済入門とは?


この連載では、小樽商科大学4年生(休学中)の神門崇晶(カンドタカアキ)が北海道経済についての「今さら聞けない」 という部分を探っていきます。例えば、北海道の経済の大きさはどれくらいなのか?それを構成する北海道の主要産業は何か?など北海道経済の基本的な部分を理解していくことをインフォグラフィックを通して試みるプロジェクトです。

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神門崇晶(かんどたかあき):小樽商科大学4年生(休学中)。
札幌北高校を卒業し1年間の浪人生活を経て、小樽商科大学に2019年に入学。同年11月に「カレーパンドラ小樽商大店」をオーナーと共にオープン。コロナ禍により同店を休業し、2020年にYoutubeチャンネル「おたる再興戦略室」を開設。これをきっかけに、2021年4月から「札幌解体新書」の学級委員長を務める。

導入


第8回「道央経済入門〜後志編〜」から、③「北海道産業地図」と④「北海道の経済状況」をベースに、道央地域の経済について振興局別に詳しく見ています。前回は、「11 道央経済入門〜石狩編〜」として「現・北海道経済の心臓」である石狩管内の経済状況を見ていきました。
これまでのように経済状況をみるだけでなく、「都市圏」という考え方も交えて石狩の経済・産業について触れました。経済・産業は私たちの生活と密接な関係性をもっており、これらは市区町村を飛び越えて広域的に影響し合います。そのため、都市圏という複数の市区町村間における、経済・産業を見ることが、地域ごとの経済・産業の状況を正確に捉えることに繋がります。


さて、今回で道央経済入門は完結します。
最後は、かつて北海道経済の中心地であった空知総合振興局を見ていきます。

本日のインフォグラフィック


空知ってどんな地域?


旧・北海道経済の心臓である、空知。
そもそも、ここはどういった地域なのでしょうか?
それでは、空知狩地域の「今さら聞けない」基本的な部分をまずは見ていきましょう。


まずは、市町村数です。
空知管内には24市町(10市14町)が属し、自治体数的には道央(70市町村)で最も多いです。そして、以下のように分類されます。

北空知:深川市、秩父別町、沼田町、妹背牛町、北竜町
中空知:赤平市、芦別市、歌志内市、砂川市、滝川市、浦臼町、雨竜町、上砂川町、新十津川町、奈井江町
南空知:岩見沢市、美唄市、三笠市、夕張市、栗山町、月形町、長沼町、南幌町、由仁町
です。地理的には、札幌市と旭川市に挟まれているような形です。

面積


面積は、第128回(令和3年)北海道統計書から引用します。


面積(平成27〜令和元年)は、5,800㎢と、道央地域全体(22,145㎢)の約26.2%、北海道全体(83,424㎢)の約7.0%を占めます。道央地域内では、日高に次いで最も大きな地域です。東京都と神奈川県を合わせた面積よりも大きいです。

人口



人口(令和3年住民基本台帳)は、約28万2600人で道央地域全体(約331万人)の約8.5%、北海道全体(約522万人)の約5.4%を占めます。この空知の急激な人口減少はその後の札幌市の都市経営にも大いに影響した、という事実があります。
1960年のピーク時の人口は約80万人を記録しており、空知全体の人口は当時の札幌市の人口(50万人)よりも格段に多かったという事実があります。しかし、この後の歴史でも取り上げますが、石炭産業が衰退していくとともに人口減少に歯止めがかからなくなっていきます。1970年には60万人にまで減少し、10年間で一気に20万人も減少したのです。

では、この減少分の人口はどこに流れたのでしょうか?
地理的にも近く、高度成長期で経済成長が著しかった札幌に流れたのです。雇用がなくなると人口流出することは当たり前ですね。以下のグラフをご覧ください。

1960年前半には、空知と札幌の人口は逆転しました。その後札幌は、豊平村や手稲町との合併も重なり、この時期を境に札幌の市域はどんどんと拡大していき、大都市へとなっていきます。 

高齢化率


次に、高齢化率についてです。
「令和3年度住民基本台帳 振興局市区町村別年齢5歳階級別人口【地域行政局市町村課調べ】」のデータを基に見ていきます。

高齢化率は、
高齢者人口÷(総人口—年齢不詳人口)×100=高齢化率(%)
で計算することができます。
内閣府の令和3年版高齢社会白書によると日本全体では、老年人口が3,619万人で高齢化率は28.8%(男性:25.7%、女性:31.7%)です。


北海道全体では、老年人口が約167万人で高齢化率は31.9%(男性:28.3%、女性:35.2%)です。

空知の高齢化率は39.9%(男性:35.1%、女性:44.1%)で、檜山管内(42.7%)についで北海道では2番目に高齢化率が高い地域です。以下の人口ピラミッドを見ても、老年人口の多さが際立っており、自立的な財政運営はほぼ不可能に近いことがわかります。



空知の歴史


では、空知の産業の歴史をみていきましょう。
明治3(1870)年、幌内で石炭がたまたま見つかったことから、石炭に翻弄される空知・北海道の歴史が始まります。
明治12(1879)年には幌内炭鉱が開坑し、3年後に幌内鉄道(幌内-手宮間)が開通します。
明治以降の北海道は、「士族授産・資源供給地」という役割を背負わされました。つまり、「空知・北海道の石炭を日本全国に供給すること」が北海道開拓の大きな目的の1つなのです。

また、当時の鉄道路線図を見ればすぐにわかりますが、北海道における鉄道は石炭を運んでなんぼなのです。石炭を運ぶための鉄道だったのです。石炭は空知以外にも釧路などでも採掘されたのですが、当時の鉄道は「炭鉱を中心に」敷設されたのです。つまり、現在のJR北海道の経営難は当たり前といえば当たり前なのです。


この石炭によって、小樽と室蘭は石炭の積出港として経済発展しました。ということは、石炭がとれなくなると自動的に経済的には衰退していくに決まっているのです。


さて、空知を中心とした北海道の石炭はピーク時には全国の30%ほどを占めるようになりました。
しかし、世界的に石油へとエネルギーは移っていきました。日本も例外ではなく、空知管内の炭鉱はどんどん閉山していきました。

空知の主幹産業があっという間に消えていくのです。また、炭鉱での事故が度重なったことで、さらに拍車をかけていきました。雇用を失った者たちは地理的に近かった札幌へと行き、手の出しやすかった卸売・小売業やサービス業に従事することとなり、札幌は第三次産業のまちへとなっていきました。

空知管内の自治体は、このままではいけないと石炭に代わる新産業の創出に手を出します。
それが、観光産業でした。
代表例として、芦別レジャーランドやカナディアンワールドが挙げられますが、これらはどれも大失敗し、自治体の財政に大きな傷跡を残すこととなりました。 

このように空知の石炭産業は、北海道における鉄道、産業構造、札幌の発展に大きく影響を与えたということができます。

これらについては、札幌解体新書3時限目「経済・産業」をご覧ください!明治から現代までの北海道経済・産業史を楽しめます。石炭産業が、いかに北海道全体を翻弄させてきたかがよくわかるかと思います。


空知の経済・産業


では、石狩の経済・産業を見ていきましょう。
ここからは、北海道庁が出している、平成30年度(2018年度)道民経済計算年報と空知の概要2021を中心に見ていきます。

https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kks/ksk/tgs/keisan-kakuhou.htmlhttps://www.sorachi.pref.hokkaido.lg.jp/gaiyo/index-14.html

空知管内の域内名目総生産(2018年度)は9350億円であり、北海道全体の約4.8%を占めています。 産業構造は、以下の通りです。


空知では、第一次産業が盛んです。北海道の第一次産業の構成比は4.3%であり、それよりも構成比としては大きく、昨今は道内1の米どころとして米のブランド化に力を入れています。空知における銘柄は、ななつぼし、ゆめぴりかが約70%を占めています。夕張メロンにも代表されるように、石炭、観光の次は農業が次の産業になりつつあるかもしれません。




付加価値額・従業者数を見ると、農業は北海道平均よりも高い構成比になっています。あとは、やはり高齢者が多いことから医療・福祉、建設の構成比が高いですね。

主幹産業の有無はそのまま雇用に直結し、人口増加・減少に大きく影響します。例えば、猿払村のようにきちんと「稼げる産業」があるということを対外的にアピールすれば、雇用を求めて自ずと外から人はやってきます。

人口減少・高齢化という空知が長年抱えている課題はあくまでも結果なのであり、それには何らかの原因があります。空知管内の多くの自治体はこの課題に苦しんでいると思います。その主要因として考えられるのは産業・雇用がないことなので、この点を解決する施策を打つことが行政・民間ともに求められます。 次は、無視することのできない空知の財政について見ていきます。

財政


財政って経済に関係あるのか?という疑問が出るかと思いますが、大いにあります。自治体も経済主体の1つだからです。

「②入門の入門〜後編〜」を読んでいただけるとわかるのですが、「家計・企業・政府」という3つの経済主体が消費や投資、支出を行うことで需要と供給の循環が生まれ、経済は回るのです。なので、民間消費が旺盛であればその分政府支出も活発でしょうし、民間消費の元気がなければ政府支出がその分をカバーしたりします。なので、財政を見ることは経済を見ることに繋がるのです。

さて、空知といえば?と聞かれたら「石炭」と答える方は多いと思います。
それに付随するように、「財政が厳しい」と答える方も一定数いるのではないかと思います。
おそらく、日本で唯一財政破綻し財政再建団体に2007年に指定された夕張市の印象が大きすぎるのだと思います。夕張市の財政破綻に関しては、多くの書籍が出ていますが、日経が出している『地方崩壊 再生の道はあるか』は読みやすく、当時の状況がよくわかる書籍になっています。


ただ、この厳しい財政運営は過去の話ではなく現在も続く話です。
今回は、空知管内における財政力ランキングから、財政について簡単に触れようと思います!


このランキングは、各自治体の財政力指数を基にランクづけしています。
財政力を測る指標としては、経常収支比率や実質公債費比率など、さまざまな指標があります。これらはそれぞれ、性格が全く異なります。

例えば、経常収支比率は財政の弾力性を測る指標であり、市税や地方交付税などの経常的に入ってくる収入が、毎年経常的に支出される経費(人件費、扶助費、公債費など)にどれだけ使われているかを示したもので、数値が低いほど財政の弾力性・自由度が高い、といえます。ちなみに札幌市は大体95%前後で、財政の自由度が高いとはいえないことがわかります。

今回用いた財政力指数とは地方公共団体の財政力を示す指数であり、数値が大きいほど自主財源の比率が高く財政基盤が強固で財源に余裕があり、自主的な財政運営ができることを意味します。この数値が1を下回ると交付税が交付される仕組みになっています。 

ここで、「自主財源」という言葉が出てきましたが、地方の自主財源の種類をご存じでしょうか?
自主財源の種類には、市区町村税などの地方税、地方消費税、条例や規則で徴収できる法定外税(自主的な観光税など)に加えて、諸収入などがあります。

この地方税の中に、市民税、固定資産税、軽自動車税などが含まれます。
なぜ、地方で地価が上がると一般的に良いとされるかというと、地価上昇による固定資産税の増収が見込まれ、人口増加による市民税の増収も期待されるからです。
なので、財政力に乏しい地域では死んでいる土地などを積極的に利用していくことでそこが起点となりエリア全体の価値が向上し、税収を増加させることが求められます。 

反対に、「依存財源」というものもあります。この代表例が、交付金や国庫支出金です。要は、基本的な自治体運営をするための既に用途が決められているお金であり自由なお金ではない、ということです。
一般的に、「財政運営が厳しい」と言われる自治体は、この自由に使えるお金が少ないという意味合いであると考えて相違ないかと考えます。

この財政については、僕が勝手にYoutubeでまとめていますので、ぜひ見て頂けるとうれしいです!


 さて、空知における財政力ランキングを見ると、最も数値の高い滝川市でさえ0.40であり、最も低い歌志内市に限っては0.11という数値であり、財政運営に全く余裕がないということがわかります。

札幌市の「なまらわかる!財政のあらまし」は用語解説も入っていたりしてとてもわかりやすいので、ぜひご覧下さい!

また、財政を見る際の用語集は愛知県岩倉市のHPがとても丁寧です。


まとめ


空知は石炭によって翻弄された地域であり、札幌への人口流出に代表されるように周辺都市への影響のみならず、北海道全体の産業構造などにも多大な影響を与えました。石炭というものが凄すぎたからこそ、次の主産業を創り出すことができずに何十年と時が過ぎ、厳しい財政運営を強いられる自治体が北海道全体に多い、という状況があるかと思います。やはり、経済・産業というものは様々な要素が絡み合ってできているのだなと感じます。

そして、今回で道央経済入門は完結しました。後志・胆振・日高・石狩・空知とみてきましたが、どの地域も産業構造や、経済が全く異なっていることがわかったかと思います。ただなんとなくのイメージで経済・産業を捉えるのではなく、リアルなファクト(データ、生で見た情報など)をベースに経済を見ていくことの重要性も同時に感じました。

一体、次の地域はどこなのでしょうか?
次回までお楽しみにお待ちください!そして、道央経済入門を最初から振り返って読んで頂けると嬉しいです!

【#えぞ財団】 連載企画「#北海道経済入門」⑦ ~道央経済入門~

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